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先進的な福岡市の取り組みから
視覚障がい者にとって、「読める」を当たり前に――。視覚障がい者に対する情報提供を充実させるため、現在、印刷物などの文字情報を音声化し、スマートフォン(スマホ)などで読み上げるアプリの普及が進んでいます。中でも、「日本視覚障がい者情報普及支援協会」(JAVIS)が開発したアプリ「ユニボイス」が注目を集めており、各地の公的機関や民間企業などで導入・利用されています。同アプリの特徴や、全国でいち早く導入し、先進的に普及を進める福岡市の取り組みを紹介します。
JAVISは、障がい者や小さな文字が読めない高齢者らを支援するため、印刷物やウェブサイトの文字情報を「ユニボイス」と呼ばれる2次元コード(音声コード)に変換するシステムを開発。音声コードの文字情報を音声で読み上げる無料アプリ「ユニボイス・ブラインド」を作成しました。JAVISは、国や自治体など公的機関に対して、作成ソフトを無償で提供し、普及を図っています。
音声コードの中には、約800字の文字情報が埋め込まれ、印刷物に刷り込まれた2次元コードにスマホをかざすと、印刷物の内容が読み上げられる仕組みです。電波が圏外でも使用でき、視覚障がい者だけでなく、日本語が読めない外国人でも活字情報を得ることが可能です。
音声コードは、印刷物の右下の位置に埋め込まれており、砂嵐状の模様が刻まれています。コードの位置は視覚障がい者が触っても分かるように、「切り欠き」が入っているのが特徴です。
市民に行政情報の幅広い提供を進めようと、福岡市では2020年度から、本格的にユニボイスを活用した印刷物の音声読み上げ対応支援を開始。ねんきん定期便や新型コロナウイルスのワクチン接種、希望する人に送付する水道料金などの各種お知らせやチラシなど、約50種類の印刷物に音声コードが入っています。
さらに、この音声コードやアプリの周知を図ろうと、昨年からJAVISと連携。アプリのインストール方法や使用方法などをまとめた動画も作成しました。同年8月には、携帯電話事業者4社の市内ショップ(計7店舗)や各区役所などでアプリの使用方法を説明、サポートする事業を開始しました。これは、全国初の取り組みです。
昨年12月からは、アプリに市公式ホームページで公開中の市政情報を音声で聞ける機能を追加。また、市内の民間事業者を対象に、文字情報を音声コードに変換するパソコンソフトを無償提供する事業も実施しました。現在、市内4社の企業が導入し、さらなる普及をめざしています
市によると、市内の視覚障がい者は約3500人。この中で、市内のアプリの利用者数は、視覚障がい者の家族なども含め、約6800人(2018年1月~23年8月までの累計)まで増加しており、着実に広がりを見せています。
市障がい企画課の担当者は、「市として今後、市民への重要なお知らせは音声コードが入るのを標準にしていき、視覚障がい者にも正確な情報が行き届くように、しっかり進めていきたい」と話しています。