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全国視覚障害者情報提供施設協会が公開
特定非営利活動法人「全国視覚障害者情報提供施設協会」(全視情協)は昨年末から、インターネット上に視覚障がいに関する情報を提供するサイト「シカクの窓」を公開しています。このサイトでは、ネット上にあふれている視覚障がいに関するさまざまな情報を検索しやすいように一つのサイトへ情報を集約。視覚障がい者だけでなく、当事者の家族や支援者にも役立つ情報も満載です。発信に力を入れる全視情協を訪ねました。
全国の点字図書館などで組織する全視情協では、書籍のテキストや音声のデータをネット経由でダウンロードできる「サピエ図書館」を運営しています。今回、全視情協が新たに公開した「シカクの窓」は、視覚障がいに関する情報を提供し、内容が多岐<たき>にわたるのが特長です。
2021年度、全視情協の副理事長で堺市立健康福祉プラザ視覚・聴覚障害者センターの所長を務める原田敦史さんら4人で作成に向けてのプロジェクトチームを発足。情報につながりにくいとされる中途の視覚障がい者を主な対象として、内容を1年かけて検討したといいます。原田副理事長は、「どういう内容や情報を載せたら良いかというのを、視覚障がいの当事者らも交えて、チームの中で意見交換しながら、形ができあがっていきました」と振り返ります。
名称の「シカクの窓」の「シカク」には、見る「視覚」とスクエアの「四角」の意味があり、さらに、見えないところの「死角」がないくらい隅々にまで情報が行き渡るようにとの思いを込めています。サイトのデザインなどは業者に依頼し、音で聞いても目で読んでも分かりやすいように、作りや配色をシンプルにしました。
内容の大きな項目としては、「支援・相談窓口」「便利な道具・アプリ」「生活の知恵」「余暇・趣味」「目の病気・医療」などを設け、当事者以外にも分かるように専門用語をなるべく使わないようにしています。
具体的には、「支援・相談窓口」では全国の施設を都道府県別のほか、リハビリテーションや就労、当事者団体といった種別で検索が可能です。現在、700超の施設が検索でき、掲載希望も受け付けています。「便利な道具・アプリ」では、「読み書き」「外出」「身の回りのこと」と用途に分けて紹介し、話題の最新機器の情報も提供しています。
「余暇・趣味」では、旅行などで使えるアプリなどの外出支援サービスや、視覚以外の感覚で楽しめる観光施設も案内。「応援・寄付」では、「街で視覚障害者を見かけたら?」や「ボランティアをしたい」「視覚障害者を支援する仕事」といった項目も。一方、「緊急のお知らせ」では、今年1月に発生した能登半島地震に関連する「被災者の相談窓口」や「入浴施設」といった情報も紹介。また、行政作成のPDFファイルの一部を、テキストや点字のデータにして提供もしています。
また、サイトでは利用者からの500文字までの投稿を受け付けています。投稿の内容は、「新着記事」の中で公開されており、原田副理事長は「現場の生の声はとても大事なので、紹介した道具やアプリを使ってみた感想などを投稿してもらえれば。そして、必要とされている情報をさらに充実させて、今後も発信していきたい」と話しています。