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■恒久的な財源捻出できず/当時の首相が国会で陳謝
児童手当の拡充を巡り、与野党から所得制限の撤廃を求める声が上がっています。こうした動きに立憲民主党は、民主党政権時代に導入した所得制限なしの「子ども手当」に自民党が反対したことを批判しています。しかし、子ども手当の財源を確保できず、今の児童手当に戻したのは民主党政権です。他党を批判する資格はありません。
子ども手当は、旧民主党が2009年衆院選のマニフェストで「中学卒業まで1人当たり月額2万6000円を支給する」と訴え、政権を獲得して創設されました。当初、ムダ削減などで財源を確保できると豪語していましたが、実際には捻出できず、月額1万3000円でスタート(10年4月)。その後も財源は生み出せませんでした。
このため菅直人政権時に、民主、自民、公明の3党協議で従来の児童手当を拡充して復活させることで合意(11年8月)。これに基づき、野田佳彦政権で子ども手当は廃止されました(12年4月)。当時の国会答弁で菅元首相は「財源に関してやや見通しが甘かった」と反省。野田元首相も「過ちは素直におわびする」と陳謝しています。子ども手当が行き詰まったのは、明らかに民主党政権の責任です。
■旧民主は拡充予算に反対
そもそも旧民主党は、過去に児童手当の拡充を盛り込んだ予算に重ねて反対した唯一の政党です。2000年の拡充(対象を3歳未満から小学校入学前まで拡大)、04年の拡充(小学3年修了前まで拡大)、06年の拡充(小学6年修了前まで拡大)に反対。さらに07年の拡充(乳幼児加算の創設)にも旧民主党だけが反対しました。そうした過去を持つ政党が、いくら児童手当拡充を叫んでも説得力はありません。
一方で昨年の出生数は統計開始以来、初めて80万人を割り込む見通しで、少子化対策は差し迫った最優先課題です。政府は今、児童手当の拡充を「異次元の少子化対策」の柱の一つとして掲げ、支援策の検討を進めています。子ども・子育て支援は、社会基盤の持続可能性を維持していくためにも重要であり、「隠れた安全保障」と言われています。
だからこそ与野党は政争の具にせず、建設的に議論を尽くすべきです。