クリエーティブ・プランニング ~良い企画の作り方~

さまざまなデータや事実に基づいてアイデアを生み出し、課題や不満を解決する方法と、実現可能なプロセスを導き出す――。「企画力」は、いつの時代でもビジネスパーソンに求められるスキルの一つです。松下電器産業(現・パナソニック)の商品開発の第一線で活躍し、党青年委員会の政策アンケート運動「VOICE ACTION」(ボイス・アクション)や「ユーストークミーティング」の企画立案にも携わった経験を持つ河西宏一衆院議員に、企画力を向上させるポイントを聞きました。
――「毎週の企画会議が憂鬱」「企画書はどう書いたらいいのか」――。同世代の友人と、そんな会話が絶えません。
アイデア出しや、企画書の作成に頭を悩ませている人は多いですよね。私も20代は苦悩の連続でした。パナソニックで働いていた時、カーナビの開発や設計に携わっていました。当時はDVDナビからハードディスクナビへの転換期。企画を練り、仮説を立てては実験、証明を繰り返す。いわゆる“産みの苦しみ”を味わいました。でも、自分のアイデアが採用され、製品に実装され、最終的に社内で評価された時の喜びは忘れられません。そんな経験を「ボイス・アクション」の企画立案にも生かすことができました。
「地上戦」と「空中戦」を攻略しアイデアを生み出せ

――見よう見まねで企画しても、上司を説得できず、何度も自席と上司のデスクを行ったり来たりすることもあります。
他者に習うことはよい姿勢だと思いますが、どんなに良いアイデアでも、自分が「こうだ!」と確信を持って伝える説得力がないと、実現できません。そのために必要なのが、数値化されたエビデンスに裏付けられたプレゼンです。
何事も「準備」が大切ですが、まずは情報収集と分析から始めてみましょう。「地上戦」と「空中戦」の両面から攻めてみるといいですよ。
――「地上戦」と「空中戦」……ですか?
まず、現場で生の声を聴く「地上戦」に徹する。そこで感じた課題には、きっと新たな企画につながるヒントが潜んでいます。それをメディア情報やビッグデータを活用して分析し、なるべく課題を定量的に浮き彫りにしていく。これが「空中戦」です。そして、次は「数値化」と「言語化」の作業に入りましょう。
――実際に企画書の作成に入る、ということでしょうか。
そうです。ボイス・アクションを企画した際も、やみくもに企画書をつくったわけではないんです。肌で感じてきた「もっと若者の声を聴いてほしい」という政治へのニーズを、党独自のアンケート調査で“数値化”し、分析と考察を加え、“言語化”した時に企画書の輪郭が見えてきました。とくに、この「数値化」が説得力を大幅に上げてくれますよ。
対面ブレストで企画をブラッシュアップ

――いつもアイデアを出してつまずくのが、自分の考えを具体的な企画に落とし込む作業です。
最初はざっくりとした企画案をブラッシュアップするには、互いに否定することなく意見を交わすブレインストーミングがおススメです。自分にはなかった情報やアイデアのピースをゲットできますから。アイデア出しや企画書のたたく際など、タイミングも大切です。
とくに、私が心掛けているのは対面でのブレストです。オンラインでもやれないことはありませんが、個人的には、相手の感情や話の意図がしっかり伝わるリアルの方が効果的かと。
アイデアをカタチに!「1枚企画書」のすすめ

――上司の顔色をうかがうのではなく、自分なりの根拠を持てば堂々プレゼンできそうです。ちなみに、企画書を作る時は、何を意識していますか?
私は「1枚企画書」を作ることをお勧めします。企画書を1枚に収める最大の理由は、「分かりやすさ」です。パッと全体像を見て「なるほど」と思わせることがポイントですね。
――相手がどう見るか……今までなかった視点です。河西流「1枚企画書」の極意を教えてください。
紙で言えばA3一枚に収めるようにしています。4分割して、①背景②エビデンス③考察④企画案を記載します。背景で、なぜこの問題解決に挑もうとしているのかを説明。次に課題を数値化したエビデンスを示します。そこに考察を加え、導き出されるタスクを企画案として提示します。
――シンプルで分かりやすい! 他にもポイントはありますか?
休息を取り、一度、頭を空っぽにするのもいいですが、私はそんな時こそ「一人ブレスト」で頭を動かします。企画と背景が近いテーマの映画やドキュメンタリーを観ると、新たな刺激が生まれ思わぬ発想も生まれてきますよ。

――ビジネスパーソンとしての心構えにもなりそうですね!
私が何よりも大切にしているのは、社会をより良くしていこうという「使命」と「責任」そして「情熱」です。きっとビジネスパーソンの皆さんも、仕事に対する熱い思いがなければ、いい企画は生まれにくいですよね。いつでも「ビジネスパーソンの心構え」について、ブレストしましょう(笑)