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生活者目線で合意形成リードし、無年金・低年金対策、教育無償化など実現
「混乱と停滞」などと総括される民主党政権(2009年9月~12年12月)で、消費税率を5%から10%に引き上げ、増収分を社会保障の充実・安定に充てる「社会保障と税の一体改革」実現の原動力となったのは公明党だった。12年当時、衆院で与党、参院で公明党を含む野党がそれぞれ多数派を占める“ねじれ国会”にあって、「一体改革」関連法案を成立させるため、公明党は生活者目線から与野党の合意形成をリードした。
(10年参院選)民主党大敗、“ねじれ”で高まった公明の存在感
近年の公明党の実績には「社会保障と税の一体改革」から始まったものが多い。
例えば、公的年金の受給資格期間を25年から10年に短縮する無年金者救済、低年金者のために月最大約5000円を上乗せする「年金生活者支援給付金制度」、所得が低い高齢者に対する介護保険料の軽減強化。幼児教育・保育の無償化や、大学など高等教育の無償化、コロナ禍と物価高の中で家計を支えている消費税の軽減税率もそうだ。
このように国民生活に幅広く関わる「一体改革」だが、実現まで紆余曲折があった。
「消費税は4年間上げない」。民主党はそう公約し、09年衆院選で政権を奪取したにもかかわらず、翌10年参院選の直前に就任した菅直人首相は突如、消費税率10%への引き上げに言及。公約違反は明らかだった。しかも、消費税の使い道は「財政再建のため」と言ったり、「社会保障財源に」と言い出したりと、発言が二転三転したことから、公明党は徹底して追及した。
参院選では公明党が善戦する一方、民主党などの与党は大敗して過半数を割り込み、衆参の“ねじれ”が生まれた。政府の法案は、野党の協力なしに成立できなくなり、民主、自民両党に次ぐ第3党の参院公明党の存在感が高まった。
(低所得者対策として)消費税の軽減税率を3党合意に明記させる
舞台は12年の通常国会。菅内閣の後を継いだ野田佳彦内閣は「一体改革」を掲げた。しかし、社会保障の全体像は示さず、政府から聞こえてくるのは消費税率引き上げという負担増の話ばかり。低所得者対策も不十分だった。
社会保障や低所得者対策を置き去りにし、税率引き上げだけを決めるようなことは許さない――。公明党は6月7日、党の主張を反映させるため、「一体改革」を巡る民主、自民両党との3党協議への参加を決断した。15日深夜に3党の実務者間で合意し、21日には3党幹事長が正式に合意。この3党合意に基づく「一体改革」関連法案を「速やかに衆議院で採決し、今国会で成立を図る」ことを確認した。
「一体改革」関連法案は26日、民主、自民、公明の3党などの賛成多数で可決し、参院に送付されたが、採決では民主党から小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相ら57人が反対。翌27日の新聞各紙が「国民そっちのけの主導権争い」(「毎日」)と報じるなど、多くの国民の失笑を買った。
なお、19年に導入された「軽減税率」は、公明党だけが主張し3党合意に低所得者対策の選択肢として明記させ、実現への出発点となった。
(参院採決の目前で)ブレない姿勢を貫き民自両党の決裂防ぐ
「一体改革」関連法案の審議の場が参院に移った12年7月以降、民主党はさらなる造反を恐れ、姑息にも「一体改革」関連法案の採決先延ばしを画策した。野党に協力を呼び掛けて成立目前まで来た法案を党内事情で葬ろうとするかのような無責任な民主党の動きに、自民党は反発。3党合意の破棄も辞さずと衆院解散を求め、内閣不信任決議案と問責決議案を提出する構えを見せた。
緊迫する政局の中で廃案の危機に直面した関連法案の成立に尽力したのが公明党だった。山口那津男代表は、「3党合意を台無しにするような動きがあるが、民主党も自民党も責任を自覚して、国民のためにどう対応するか、ということをしっかり見据えていただきたい」などと民主、自民両党を繰り返し、いさめた。
その結果、8月8日の3党首会談で、野田首相が「一体改革関連法案が成立した暁には、近いうちに信を問う」と衆院解散を表明し、3党首は関連法案の早期成立で合意。関連法は10日、参院で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。
最終盤で民主、自民両党が決裂寸前になる中、“国民のため”とのブレない姿勢を貫き、それを防いだ公明党の対応について、各紙は「長年政権を担った政党としての矜持を示した」(9日付「読売」)などと高く評価した。